「合法的な裏金の作り方」というフレーズを聞くと、少し怪しい印象を受けるかもしれません。
しかし、実際に商売をしていると、取引先や関係者へのお礼や配慮として、現金を渡さなければならない場面が生じることがあります。この記事では、こうした場面における適切な対処方法を解説しつつ、税務リスクを回避するためのポイントをお伝えします。
※この記事を文章で読むより動画で確認されたい方は、この記事の末尾にある動画をご覧下さい。
Contents
1. 使途秘匿金とは?
「使途秘匿金」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、法人税法上の用語(勘定科目)です。相手先が不明または開示できない支出のことをいいます。
例えば、「どうしても相手方を明かせないが、支払いは必要だ」という場合に、この科目を利用することが想定されています。
1-1.使途秘匿金のペナルティ
使途秘匿金を使用と、以下のペナルティが課されます。
1-1-1.損金不算入
使途秘匿金は、法人税の計算上、経費として認められません。払っても経費にならいため、支出しても法人税が減りません。
1-1-2.追加課税40%
さらに、法人とは別途40%の課税が発生します。法人税の実効税率が34%と仮定すると、合計で74%もの税金を支払うことになります。
このように、使途秘匿金を正面から扱うことは非常に高い税コストを伴うため、実務上は避けるべき方法です。
2.合法的な代替手段:役員報酬の活用
では、こうした状況をどのように解決すればよいのでしょうか?
私がお勧めするのは、社長自身が役員報酬として一度お金を受け取り、その後個人として必要な支出を行う方法です。
2-1.なぜ役員報酬が有効なのか?
役員報酬としてお金を受け取ると、所得税や社会保険料がかかりますが、使途秘匿金課税を受けるよりはマシですし、その後のお金の使途について税務署の監視が及ばないという大きなメリットがあります。
2-1-1.税務リスクの回避
使途秘匿金として処理すると、税務調査時に問題視される可能性がありますが、個人の手取りからの支出は(少なくとも法人税の調査からは)、調査対象外です。
2-1-2.反面調査の回避
相手先が明示される交際費として処理する場合、税務署がその相手先にも調査を行う可能性があります。役員報酬からの支出であれば、そのリスクを回避できます。
貰った相手から、「お前のせいで見つかっただろ! 」とドヤされる心配もありません。
2-1-3.高額な追加課税の回避
使途秘匿金の40%の追加課税も避けることができ、税負担が軽減されます。
3.具体例:合法的な裏金の作り方3ステップ
例えば、取引先に謝礼を渡す必要があって、それを税務署にも明かせないケースを考えてみましょう。この場合、以下の手順を取ることで、合法的かつリスクの少ない形で対応できます。
ステップ1:役員報酬として支給
必要な金額を役員報酬として社長が受け取ります。
ステップ2:個人の手取りから支出
役員報酬から必要な金額を支出します。これにより、法人税や使途秘匿金の課税から解放されます。
ステップ3:帳簿上の透明性を確保
法人の帳簿上、役員報酬として記録されるため、使途秘匿金のような不透明な処理を避けられます。
4.注意点:役員報酬の設定と節税対策
役員報酬の額を適切に設定することも重要です。不相当に高額な役員報酬は、法人の損金として否認される可能性があるため無尽蔵に高くすることは不可能です。また、高額な役員報酬は社長個人の所得税負担が増えます。この点については、、所得税の節税対策を実施することで調整することが可能です。
5.まとめ
商取引やビジネス活動の中で、どうしても裏金に近い形での支出が必要になる場合があります。使途秘匿金として処理することも可能ですが、高額な納税が必要です。そのため、役員報酬を活用した合法的な方法が、現実的かつ安全な選択肢です。
こうした税務戦略を活用することで、経営の自由度を保ちながら、法令遵守を徹底することができます。詳細な節税方法や具体的な支出の計画については、ぜひお問い合わせください。
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山口 真導
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