はじめて決算を迎える社長に、良く聞かれる決算スケジュールに関する質問に答えたいと思います。会計事務所なら、事前のご説明をしっかりと行い、お客様を不安にさせないようにしたいところです・・・が、恥ずかしながら、開業して15年も経っているのに、ちゃんとまとめた資料がなくて、、、、それで、この記事を書くことにしました。
それと同時に、起業家の皆さんにご理解頂きたいのが、なぜ、決算にこんなに時間が必要なのか?です。
会計事務所の職員や経理部門の社員は、「決算おせー」と社長に言われると、内心では「税引前利益に税率掛け合わせてるわけじゃないんですよ、オラオラ。」と思っています。その誤解が少しでも溶けて、お互い仲良く心穏やかに過ごすことがこの記事を書く、もう一つの目的です。
なお、以下は株式会社(消費税は免税事業者)を前提にして書いています。合同会社の方は、参考程度にご利用下さい。
Contents
1.決算スケジュールの4パターン
決算スケジュールには主に4つのパターンがあります。この4パターンを決算のルールが理解しやすい順序でご紹介していきたいと思います。
パターン1:税法ルール優先パターン
パターン2:上場会社パターン
パターン3:役員報酬をすぐに上げたいパターン
パターン4:上場会社の真似を失敗したサムイボパターン
1−2.税法ルール優先パターン
最初にご紹介するのは、いま日本で一番採用されていると思われる税法ルール優先パターンです。
このパターンでは、
株主総会:決算期末日後2ヶ月以内
申告書の提出:決算期末日後2ヶ月以内
納税:決算期末日後2ヶ月以内
と全て2ヶ月以内で済ますパターンです。
この決算期末日後2ヶ月以内ルールは、税法に定められている「原則的」なルールなので、どんな法律よりも税法を重んじる社長に向いているパターンです。しかし、社長に直接お尋ねすると、「顧問税理士にそう言われたから」と99%言われます。顧問税理士が税法を重んじた結果が、その社長のベストな選択なら問題ないのですが、実際にところはどうなのでしょうか?ほとんどの中小企業が、このパターンになっていることを考えると、とにかく税法に合わせているだけとしか思えない私がいます。。。
1−2.上場会社パターン
わたしは公認会計士ですので、仕事を始めた最初の4年間は上場会社の監査をしていました。ですので、最初に慣れ親しんだこのパターンが一番好きでオススメのパターンです。
株主総会:決算期末日後3ヶ月以内で実施
申告書の提出:決算期末日後3ヶ月以内て提出
納税:決算期末日後2ヶ月以内で納税
納税だけはどんなに頑張っても2ヶ月以内にしなければならないのが税法のルールです。この税法のルールには逆らえないので、納税は先行して決算期末日後2ヶ月以内で済ませるしかありません。しかし、申告期限は延長出来るので、その申請を行って1ヶ月延長します。なぜ、延長するかというと、会社法で株主総会は決算期末日後3ヶ月以内に開催するように決められていて、上場会社の場合、決算月の3ヶ月後に株主総会を開催することが多いからです。法人の申告は株主総会で承認された確定した決算に基づいて実施することが求められてるので、3ヶ月目に定時株主総会を実施する場合には、申告期限の延長申請をせざるを得ないのです。
実務的にも、申告期限を延長しておけば、仮に納税の為に一旦決算を2ヶ月で締めたとしても、更に追加で1ヶ月間再検討することが出来ます。その間に決算書が修正された結果、最初に納税した金額が多すぎれば差額は還付され、少なすぎる場合は申告と同時に追加で納税します。追加納税が発生すると、その部分に1ヶ月分の延滞税が発生します。これを損失と思う方もいるかもしれませんが、それでも期限内の申告ですので、修正申告や更正請求扱いにはなりません。つまり、延滞税を払ったとしても適切に決算事務が行われた範囲内のこと、という取扱になるということです。
上場会社のやり方を真似するというのは、中小企業がトクをするための常套手段ですから、決算スケジュールに限らず意識して実施して頂きたいところです。
延長申請は、決算期末日より前に提出する必要があります。いま決算期末日後でドツボにハマっていたとしても急に延長することは出来ません。
1−3.役員報酬をすぐに上げたいパターン
役員が賞与を受け取ると原則として法人の損金になりません。そんな役員に対して、新しい年度に変わって、すぐに役員報酬を増額して、前年度の労に報いるためのやり方がこのパターンです。
「臨時」株主総会:決算期末日後1ヶ月以内で実施
「定時」株主総会:決算期末日後3ヶ月以内で実施
申告書の提出:決算期末日後2ヶ月以内て提出(延長していれば3ヶ月以内でも可)
納税:決算期末日後2ヶ月以内で納税
決算が締まっていないと決算承認の株主総会(定時株主総会)は開催出来ないので、役員報酬を決めるためだけの株主総会を臨時で開く必要があります。その場合、定時株主総会は、別途、申告書を提出する前に開催する必要があります。
申告期限を延長しなければ、臨時株主総会を実施する場合以外は、パターン1と同じです。
申告期限が延長してある場合は、臨時株主総会を実施する以外は、パターン2と同じです。
役員報酬変更の話は厳密にいうと決算スケジュールとは別の話です。しかし、実務的に役員報酬を1日でも早く上げたいという要望はかなりあります。出来るだけお客様のご要望は叶えようと思うと、決算スケジュールのうちの一つの話として、お伝えしておくのが、一番解りやすいと思います。実際に役員報酬を初月から上げるかどうかは別にして「上げることが出来る」ということはお伝えしておくべきだと思います。
このブログは理論書ではございませんので、こうした理論的破綻はお許し下さい。
1−4.上場会社の真似を失敗したサムいぼパターン
株式投資をしたことのある社長であれば、上場会社が決算月の3ヶ月後に株主総会をすることはご存じでしょう。3月決算の上場会社であれば6月に株主総会をするのが普通です。その真似を必要な手続をせずにしてしまい、それを会計事務所が放置している場合に発生するパターンが、このパターンです。
株主総会:決算期末日後3ヶ月以内で実施
申告書の提出:決算期末日後2ヶ月以内て提出
納税:決算期末日後2ヶ月以内で納税
上記のとおり、税務署に申告書を提出してから、定時株主総会を開催しています。つまり、確定していない決算書を元にして申告書を作成しているということになります。ルールを守っているようで守っていないパターンなので、解っている人間から見ると、カッコ悪いパターンです。これはやらないようにしたいですね。
2.決算スケジュールを定めたルールについて
ここからは、上記のような決算スケジュールになる理由のうち根拠法令を紹介していきたいと思います。
2−1.申告・納税に関する税法のルール
申告納税に関しては決算期末日後2ヶ月以内に行わなければならないとされています。但し、会計監査等の理由で延長出来るとされています。
(確定申告)法人税法第七十四条
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。(確定申告書の提出期限の延長の特例)法人税法第七十五条の二
第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書を提出すべき内国法人が、定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この条において「定款等」という。)の定めにより、又は当該内国法人に特別の事情があることにより、当該事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から二月以内に当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、納税地の所轄税務署長は、その内国法人の申請に基づき、当該事業年度以後の各事業年度(残余財産の確定の日の属する事業年度を除く。以下この項及び次項において同じ。)の当該申告書の提出期限を一月間(次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該各号に定める期間)延長することができる。
一 当該内国法人が会計監査人を置いている場合で、かつ、当該定款等の定めにより当該事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から三月以内に当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合(次号に掲げる場合を除く。) 当該定めの内容を勘案して四月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間
二 当該特別の事情があることにより当該事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から三月以内に当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあることその他やむを得ない事情があると認められる場合 税務署長が指定する月数の期間
2−2.会社法のルール
会社は1年に1回決算をしなければならないと定められています。
(各事業年度に係る計算書類)会社法第五十九条
1 (省略)
2 各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書の作成に係る期間は、当該事業年度の前事業年度の末日の翌日(当該事業年度の前事業年度がない場合にあっては、成立の日)から当該事業年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、一年(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、一年六箇月)を超えることができない。
しかし、よく読むと1年6ヶ月にしても良いという記述もあります。しかし、会社法が1年6ヶ月を許していたとしても、日本に株式会社を設立したら1年以内に決算はしなければなりません。なぜなら、法人税法が1年以上の決算を認めていないからです。
(事業年度の意義)法人税法第十三条
この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。
つえーぞ!法人税法!!(特別法が優先されるので当たり前といえば当たり前ですが)。そして、事業年度を締めたら定時株主総会を開催しなければならないことになっています。
(株主総会の招集)会社法第二百九十六条
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
(以下、省略)
ここでいう一定の時期がいつか?というと、株主総会に参加出来る株主を確定する基準日を決算期末日とする慣例から、決算期末日後3ヶ月以内と定款に定めている会社が多いです。
(基準日)会社法第百二十四条
株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
3ヶ月以内に株主総会をすれば良いということは、2ヶ月以内に開催しても、もちろんOKということになります。逆にそもそも3ヶ月目に株主総会が開催される可能性があるので、延長申請は「出しておかなければならない」という風に考えることも出来ます。ちなみに弊社のお客様は全社延長申請を出して頂いています。
そして、その定時株主総会において、貸借対照表や損益計算書などの決算書類(これを会社法上は計算書類といいます)を提出して、承認を受けなければならないというのが会社法のルールです。
(計算書類等の定時株主総会への提出等)会社法第四百三十八条
次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
(一部省略)
2 前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
3 取締役は、第一項の規定により提出され、又は提供された事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
2−3.役員報酬の決定に関する税法のルール
役員報酬は、定款に定めるか株主総会の決議で決める必要があります。
(取締役の報酬等)会社法第三百六十一条
取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
決算スケジュールに役員報酬の決定を含めたのは、定時株主総会で役員報酬を決定するのが普通だからです。これは、定時株主総会で取締役を選解任することとも関連しています。1年間の経営活動を経て、その経営成績を確認したうえで、役員の任期を延長するかどうか、又は、役員報酬をいくらに設定するかを決めるというのは、とても自然な流れですよね。
一方で、税法は、株主総会をホイホイ開催して役員報酬を変更されては困るので、役員報酬の全額を損金として認めるための条件として、決算期末日後3ヶ月以内の株主総会で決定して、以降、毎月定額で支給することを要求しています。
(役員給与の損金不算入)法人税法第三十四条
内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)
(以下、省略)(定期同額給与の範囲等)法人税法施行令第六十九条
法第三十四条第一項第一号(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一 法第三十四条第一項第一号に規定する定期給与(以下第六項までにおいて「定期給与」という。)で、次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ 当該事業年度開始の日の属する会計期間(法第十三条第一項(事業年度の意義)に規定する会計期間をいう。以下この条において同じ。)開始の日から三月(省略)を経過する日(イにおいて「三月経過日等」という。)まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る。)が三月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあつては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定
3ヶ月以内に開催ということは、決算期末日の翌日であっても3ヶ月以内の要件を満たします。したがって、パターン3のように、早めに株主総会を開催して役員報酬を増額すれば、初月から役員報酬を増額することも可能になるわけです。
3.決算で特別に実施する作業について
さて、ここまでで、法律が決算に関して最大3ヶ月の時間を与えている事を説明してきました。ここからはその理由を理解して頂くために、毎月の月次決算の作業以外に決算に際して、特別に実施する事項についてお伝えします。
3−1.決算を確定させる
まず、取り組むのは主に貸借対照表の残高の内訳を確定させる作業を行います。月次決算はスピード重視で締めますが、決算書は別ものなのです。何をするのかをポイント別でご紹介すると次のとおりです。
①資産・負債の実在性
例えば、帳簿の載っている固定資産が本当にあるのかどうかを確認します。
②資産・負債の網羅性
例えば、決めた期日以降に到着した支払の請求書は翌月の処理に回すことがありますが、決算の時には、こうした請求書も、決算月の費用として処理します。
③資産・負債の評価の妥当性
例えば、帳簿に載っている売掛金が、将来、本当に回収出来るものかどうかを検討します。既に倒産している会社に対する売掛金があったとしたら、回収されるわけないので、帳簿価額をゼロにしなければなりません。
④収益・費用の期間帰属の適正性
例えば、既に支払済の費用のうち、来期分の費用については、前払費用(資産)に振り替える処理をします。
⑤決算書の表示の適正性
例えば、長期借入金について、1年以内返済予定の金額を固定負債から流動負債へと振り替えます。
これらの修正がどれくらい行われているかは、会計ソフトの「決算整理月」という月の元帳や仕訳帳をご覧頂くと解ります。ご存じ無い方に説明すると、会計ソフトには決算月とは別に「決算整理月」というバーチャルな月が存在するのが普通です。決算月の月次の報告で聞いた利益と、決算で確定する利益が違う場合、この決算整理月に沢山の仕訳が入っているということです。決算に時間がかかるのが理解出来ないという起業家の方は、この決算整理月の元帳か仕訳帳をご覧頂くと良いかもしれません。
3−2.税金の計算
科目内訳がだいたい固まったら、税金の計算をします。
3−2−1.消費税額のチェックと計算
消費税の税金計算をするために、課税売上高と課税仕入の額を確定させる必要があります(簡易課税を選択している場合は、課税売上高を確定されるだけで税金の計算は出来ます)。どのくらいのレベルでチェックするのかは、会社や会計事務所毎によりけりですが、最低でも勘定科目毎に理論値との比較はしていると思います。
これは勘定科目毎に、①必ず消費税が課税の科目、②必ず消費税が非課税の科目、③課税と非課税が混ざる科目の3つに分類して、それぞれ実際の処理がその分類に合致したものになっているかを確認する方法です。この場合詳しく中身を確認しなければならないのは③の課税と非課税が混ざる科目です。このような方法で、取引レベルまで遡って、確認をしていくことになります。この確認が終わって、ようやく消費税の申告書を作成することが出来るのです。
このチェックは、勘定科目の選択が間違っていないことが前提でしているチェックですが、このチェックの結果、勘定科目の間違いが判明することも良くあることです。その場合、前の作業に戻って科目内訳書の修正をします。
3−2−2.法人税額の計算
わたしが良くお客様にお話するのが、「法人税の額を計算すると言っても、税引前利益に税率をかけて税金を計算しているわけではない」ということです。お客様から税額を概算で教えて欲しいという要望が有る場合、税引前利益に24%とか34%を掛けてお伝えすることは実際に良くあることですが、それはあくまでも概算であって、実際の計算とは異なります。
法人税の申告書は、別表1から別表16まであります。16枚かというとそんなことはなくて、100種類以上あります。(あんまり多いので100まで数えて止めました(笑)ヒマな人はコチラで数えてみて下さい。)これらの様式を作成しながら、法人税額を確定していきます。
3−2−3.決算書類の作成
非上場の会社であれば、会社法のルールに則った、計算書類を作成します。上場会社となると、それに加えて、証券取引法に則った財務書類の作成が求められます。軽微な違いに時間を使うのがバカバカしいので、この二つを統一しようという動きはありますが、未だに実現されていません。
いずれにしても会計ソフトの印刷ボタンを押したら、決算書類は完成というわけにはいきません。非上場の会社の場合は会計事務所の高いソフトがあれば、そこである程度作成出来る様になっていますが、一般的にはワードやエクセルを駆使して作成することの方が多いと思います。上場会社の場合は、それ専用に高いソフトを使って決算書類を作成する会社がほとんどだと思います。完全手作業になることが多いので、間違いが発生することも多い部分です。
3−2−4.監査役及び会計監査人の監査
監査役や会計監査人設置会社の場合、計算書類と財務書類を、それぞれが監査します。会計に関する部分については、監査役は会計監査人に委任することが出来ます。
会計監査には短くても1ヶ月くらいの期間が必要です。それと並行して、会計に関する以外の部分も会計監査人がチェックしてくれます。しかし、その部分のチェックは間違っても責任はないというスタンスになっていて、しばしば会社との間で関係悪化の原因になります。そんなこんなで会計監査人とお客様とのコミュニケーションに問題が発生すると、時間がドンドン浪費される構図です。そのしわ寄せは、全て末端で決算を行う経理部の皆さんと弊社のような経理代行の会社が負担することになります。そのおかげで、お客様と仲良くなれたりするのが、わたし達の仕事の面白いところかもしれません。少なくとも会計監査人のメンバーの一員として、チェックでミスしたのに、その責任をお客様に転嫁するというストレスを抱えるよりも精神的にはラクな気がします。
監査の結果、決算書が修正されるということも良くあります。ですから、実際は株主総会の招集通知を印刷する直前のギリギリまで、決算数値の修正が行われているのです。厄介なのは、どこかが修正されると他のところも修正が必要になるということです。例えば、売上が変更になれば、売上総利益、営業利益、、、と各区部の利益も全部変更になりますし、その結果、消費税と法人税の計算もやり直しが必要になります。このように、たった1箇所の修正が、他の多くの部分の修正を発生させるのが普通なのです。
4.決算スケジュールのまとめ
決算には想像以上に時間がかかります。それを想定して法律も作られていて、2ヶ月や3ヶ月の時間を確保されています。経理部の皆様や我々会計事務所が、決算期末日から株主総会日までの間、遊んで暮らしているわけではないことは、是非、ご理解頂きたいところです。パターン1を採用している多くの会社でも、パターン2のように申告期限の延長も選択肢の一つとして、是非、ご検討頂きたいと思います。
また、役員報酬は、パターン3のように臨時株主総会を開けば初月から変更することが出来ます。臨時株主総会を開催することも可能なので、ある程度、柔軟に動かせる部分があることも知っておくと良いでしょう。
今後は、はじめて決算を迎える起業家の皆様には、この記事を使って説明していこうと思います。この記事を通じて、我々の仕事に対する理解を得られたらうれしいです。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
それでは、また、別の記事でお会いしましょう。
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