主婦パートに所得税の103万円と150万円のカベを説明する方法

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税制改正小冊子表紙

人材不足からパート社員の活用を検討されている社長も多いと思います。特に、中小企業にとって、一流企業で経験を積んだ主婦パートは、普通では採用出来ない金の卵ともいうべき存在です。

しかしながら、主婦パートの登用は、これまで103万円のカベによって制限されてきたと言われています。平成29 年度税制改正は、1億総活躍社会の名の下に、103万円のカベは150万円まで改善させたといわれていますが、その見直しが実際に始まるのが平成30年(2018年)です。

少しでも長い時間働いて欲しい有能なパートから、「夫の扶養からハズレない範囲で・・・」というオーダーを受けている社長も多いと思います。そんな社長がパート主婦にどんな風に「カベ問題」を説明すれば良いかについてお伝えしたいと思います。

1.主婦パートに103万円のカベ、150万円のカベを説明する方法

今回は、実際に社長から主婦パートに制度改正を説明するというシチュエーションを想定して、ロールプレイング方式でお伝えしたいと思います。

このままパクって頂ければ、主婦パートに目一杯働いてもらえるように考えました。社長であるあなたが、主婦パートに説明しているつもりで読み進めて下さい。

—-ココから

今年(平成30年)からパート料を年間103万円までに抑えなくても大丈夫になったのを知ってますか?今日は、その説明をしたくと時間をとってもらいました。

これが今年から変更になる制度の資料です。財務省のホームページからダウンロードしたものです。

平成29年税制改正_配偶者控除&配偶者特別控除

財務省HPより、平成29年税制改正(平成29年4月発行)パンフレットから抜粋

この表の下の方から見てもらえますか?

縦軸が旦那さんの年収で横軸が●●さんの年収になっている表です。

まず、大きく変更になったところが、旦那さんの年収によって、旦那さんの税金計算のルールが変ったんです。年収が1,220万円以上の旦那さんの場合には、●●さんが、パートで際限なく働いても、旦那さんの税金の計算には関係なくなったんです。年収1,220万円ということは単純に12ヶ月で割ると月給100万円くらいです。但し、この金額はボーナスも含めて考えないといけないから、かなり多くの人が適用を受けると思います。

●●さんの旦那さんが、もしこれくらい稼いでいるとしたら、今年から気兼ねなくパートの仕事頼めるからうれしいな。

次に、その行から上の3行を見て貰えますか?

年収1220万円以下の配偶者特別控除

旦那さんの年収別で●●さんのパート収入に応じて控除される金額が書いてあります。

もし、●●さんの旦那さんの年収が1,220万円以下だったとすると、●●さんのパート収入が150万円までは、旦那さんの年収によって多少の違いはあるんだけど、最高額の控除を旦那さんが受けられるようになっています。

これが今年(平成30年)からのもう一つの変更点です。

 

でもね、●●さんのパート収入が150万円を超えたあとの右側の金額もみてもらえますか?

実は、150万円を超えると、段々、旦那さんの収入から控除される金額は減ってはいくんだけど、150万円を超えると急にゼロになるってわけではないんだ。これは、実は、改正前から、こういう風になっていたんだよ。

つまり、●●さんが103万円であれ、150万円であれ、沢山働いたところで、旦那さんの控除額は少しずつ減ってはいくけれど、●●さんの収入が増えた分、●●さんの手取りが増えて●●さんのお宅のお金は増えるんだよ。だから、●●さんには本当は、出来るだけお仕事して欲しいんだよね。

 

でも、もしかして、●●さんが103万円以上働くと、旦那さんの会社から受け取れる「手当」が減ってしまうかもしれません。それだけ旦那さんに聞いておいて貰えますか?具体的には、家族手当や配偶者手当という名前になっていることが多いと思います。もし、手当が減るとしても、その金額がうちでもお支払い出来るくらいの差額だったら、うちのパート代の方でその分をお支払いすることも考えたいと思います。

ただね、いま話したのは税金の話だけなんです。実は、103万円越えは問題ないんだけど130万円まで上げてしまうと、●●さんの方が社会保険料の扶養から外れてしまって、自分で国民年金と国民健康保険の保険料を払う必要が出てしまうんです。、、、、、(106万円のカベ、130万円のカベの話につづく。。。)

—-ココまで

こんな感じでお話して頂くと良いと思いますが、如何でしょうか?

 

2.103万円のカベ、150万円のカベの真実とは

103万円のカベと150万円のカベの真実とは、「そんなカベは最初から存在しない」が正解です。

もともと、配偶者特別控除が出来たときから、所得税に103万円のカベはありませんでした。2018年以降、配偶者特別控除の金額の内容が変更されましたが150万円という新たに設定されたカベも存在していません。103万円をピークにした下り坂が150万円をピークにした坂になっただけです。そもそもカベを無くすために作られた制度が配偶者特別控除だからです。

103万円のカベ、150万円のカベの話は、パート妻の年収の話でありながら、パート妻の所得税の話ではなく、旦那(夫)の所得税の話というネジレがあります。

妻の所得税の話に限定すると103万円のカベは存在します。パート妻の所得税の非課税限度額ではあるからです。(詳細を確認したい場合は、上記リンク先の記事で確認して下さい)。この話と103万円のカベ、150万円のカベの話がごちゃ混ぜにならないように注意して下さい。

103万円を超えると妻にも所得税が課税されるので混乱するのもやむを得ません。この非課税限度額が150万円になったわけではありません。この議論は、誰の所得税の話をしているのかが重要なのです。そこを間違えるとチンプンカンプンになります。

間違った情報をパート主婦に伝えると、それこそ問題です。この点については、絶対に間違えないように気を付けて下さい。

3.103万円のカベは夫の会社の配偶者手当、家族手当

カベは本当はなかったと書きましたが、カベが存在するパート妻がいないわけではありません。

旦那(夫)の会社の福利厚生制度において、配偶者手当の支給が妻の収入が103万円以下の場合というルールになっているケースがあり得ます。その場合、妻の収入が104万円の場合には配偶者手当がゼロになるはずですので、103万円のカベは存在します。

実際にこのような制度になっている会社は多いようです。今回の所得税の改正に伴い、配偶者手当の基準が150万円に上がった会社もあるかもしれません。その場合、確かにカベは150万円になったということは出来ますが、それは所得税とは別の話です。

旦那(夫)の会社のルールは千差万別ですので個別対応が必要です。パート主婦に説明する際には、そのことにも確認が必要です。

ロープレのような形で、この件を、必ずパート主婦に伝えるようにして下さい。

4.配偶者特別控除により103万円のカベは無かった

103万円のカベの話は、本当に良く相談される話です。しかし、実はそんなカベは存在しませんでした。

103万円のカベが150万円になったこのタイミングで、このカベの呪縛から解き放たれたいものです。

折しも、時は働きか方改革の真っ只中。

有能なパート主婦の力を借りることが、中小企業の成長にとって有用であることは明らかです。

5.社会保険の106万円、130万円のカベ問題

この記事は、所得税の制度の説明しかしていません。この後、社長は社会保険制度の話をすることになります。さて、どうなりますやら?

ご期待下さい。

 

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山口 真導

山口 真導

過払い税金対策専門税理士株式会社アカウンタックス
中小企業の資金繰りを改善するソフトウェアの開発に失敗し、自社の資金繰りがつかなくなる。その時、利益より資金が大事だとようやく気づく。以来、資金繰りの悩みを節税対策と銀行対策で解決する専門家として活動。中小企業経営者のお金の問題を他人事ではなく自分事として捉え解決している。著書に、起業5年目までシリーズで「資金繰りのキホン」と「節税のキホン」がある。

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