役員借入金を解消する方法と節税のポイント

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こんにちは、公認会計士・税理士の山口真導です。
今回は、多くの企業経営者が直面する課題の一つである「役員借入金」の問題について解説します。
この問題を放置すると、会社の財務状況や税務処理に影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、役員借入金が増える背景、その解消方法、そして節税対策について詳しくお話しします。

※この記事を文章で読むより動画で確認されたい方は、この記事の末尾にある動画をご覧下さい。

1.役員借入金とは?

役員借入金とは、会社が役員から一時的に借り入れたお金のことを指します。
一般的に、会社の資金繰りを助けるために役員(特に社長)が個人の資金を会社に貸し付ける場合に発生します。
このような状況は特に中小企業でよく見られます。

例えば、経費精算を後回しにしてしまったり、会社の資金繰りが厳しく、役員が一時的に自分の資金を会社に提供したりすることが挙げられます。
これが繰り返されると、役員借入金の残高が膨らみ、会社と役員個人の財務、税務に悪影響を発生させることになります。

とくに、役員個人の相続税という観点で、役員借入金は大きな問題になることがあります。なぜなら、役員借入金は、役員の側から見ると、会社に対する貸付という資産(債権)なので、相続財産としてカウントされ、相続税が課税される対象になるからです。しかも、役員借入金は、会社の資金繰りに問題があるから発生するものですが、現実に会社がこの借入金を返済出来ない状態の場合でも、経営に関与している役員が保有する債権を、回収不能扱いで貸倒処理することは実務上難しいという問題があります。このため、回収不能な債権分の相続税を、役員の相続人が負担しなければならないケースが多いのです。つまり、役員借入金の解消は、中小零細企業のオーナーとその相続人にとっては、重要な問題なのです。

2.役員借入金を解消する方法

役員借入金を適切に解消するためには、以下の方法があります。

2-1.役員報酬の代わりとして支払う

役員報酬の代わりに、役員借入金の返済をする方法があります。
しかし、役員報酬を支払う場合、所得税が発生します。所得税は超過累進課税なので、役員報酬を支払う代わりに、役員借入金を返済すると、所得税の負担を減らすことが出来ます。反面、役員報酬という法人の経費が減るので、法人税の負担が増えます。法人税の負担は、所得税との二重課税の原因になりますので、役員報酬に変わる、法人税の繰延対策が必要になります。

2-2.銀行借入を利用する

会社が資金に余裕がない場合、銀行から資金を借りて役員借入金を返済する方法もあります。ただし、銀行とのコミュニケーションをしっかり行い、計画的に進めることが重要です。なぜなら、銀行が会社に貸した資金が、事業ではなく、社長への借金の返済に流用されるのは、銀行からしたら、通常は許しがたい行為だからです。
銀行は決算書を通じて役員借入金の推移を確認しますので、事前によく説明してから実施するようにして下さい。

3.節税のポイント

役員借入金の解消に関連して、節税についても考慮することが重要です。特に、以下のポイントを押さえておくと効果的です。

3-1.役員報酬と借入金返済のバランスを取る

役員報酬と借入金返済の金額をバランス良く設定することで、社長の手取り金額を最大化し、
会社の資金繰りを円滑にすることができます。計算をしっかり行い、どちらかに偏らないように注意しましょう。

3-2.銀行対策を意識する

役員借入金の返済に伴い、銀行との信頼関係を維持することも重要です。銀行に対しては正確な情報を提供し、役員借入金の解消に伴うリスクがないことを説明しましょう。

4.まとめ

役員借入金の問題は、会社と個人の財務状況や税務処理に大きな影響を及ぼします。
しかし、適切な方法で解消し、節税対策を講じることで、こうした問題を回避することは可能です。
この記事で紹介した内容を参考に、ぜひ実践してみてください。

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山口 真導

山口 真導

過払い税金対策専門税理士株式会社アカウンタックス
中小企業の資金繰りを改善するソフトウェアの開発に失敗し、自社の資金繰りがつかなくなる。その時、利益より資金が大事だとようやく気づく。以来、資金繰りの悩みを節税対策と銀行対策で解決する専門家として活動。中小企業経営者のお金の問題を他人事ではなく自分事として捉え解決している。著書に、起業5年目までシリーズで「資金繰りのキホン」と「節税のキホン」がある。

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