【緊急寄稿】内部留保課税で96%の会社が救われる?!

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衆議院選挙も佳境に入ってきましたね。

先にお断りしておくと、特定の政党を支持するとかしないとかの記事ではありません。

しかし、実は、わたしが最近もっとも力をいれている「節税対策撲滅活動」と、希望の党がマニフェストに書いている(といわれる)内部留保課税が非常に関連が高い話なので投票日前に投稿しようと、慌てて書いてます。

内部留保課税に注目が集まる中で、是非、この記事が中小企業経営者の目にとまり、本当に必要な財務改善が行われることを望んでいます。

※希望の党のマニュフェストの全文を読んでいませんので、その理解に不充分な点がありましたらお詫びします。

1.結論:96%の会社で内部留保は増やさなくて良い

日本の会社の96%は同族会社です。カンタンにいうと家族経営ということです。こうした会社は内部留保を増やさなくて良いのですが、なぜか、こうした会社までが内部留保をせっせと増やした結果、資金(お金)が会社に存在しないという実情があるからです。

増やさなければいけないのは、内部留保ではなく、資金(お金)です。

理由の詳細は後ほど書きますが、まずはこの結論をしっかりと頭に焼き付けて下さい。

2.内部留保課税は強制的に同族会社を強くする?!

96%の会社が内部留保を増やさなくて良いのに、内部留保を増やしているという実態があることを考えると、内部留保課税が導入されることによって、こうした間違った財務対応をする会社が減ることが期待されます。

つまり、内部留保課税は中小同族会社を強制的に強くする可能性があります。

小池さんのブレーンが内部留保課税の影響として期待する、給料の増加や設備投資の増加というような資金の社外流出を伴わなければの話ですが、、、、。

多数の中小企業の経営者が、その手に乗らないように、我々税理士がしっかりとフォローしていく必要があると思います。

3.内部留保課税に関して希望の党へのお願い

内部留保を増やして財務体質を強化するというのは、財務の教科書の考え方です。したがって、これまで苦労して内部留保を増やしてきた中小企業が沢山あります。しかし、こうした会社のほとんどで、内部留保に相当する資金(お金)は存在していません。

したがって、過去から蓄積して「しまった」内部留保に課税するのは非常に危険な行為だと思います。もし、内部留保課税を実際に導入するとしたら、新たに増えた内部留保を対象として実施することが重要なポイントになると思います。

ですから、「これから溜める内部留保課税」という風にして頂けると良いと思います。

しかし、それだと内部留保課税ではなく、ただの法人税の増税と同じなのかもしれませんが(笑)。

3.残りの4%の非同族会社にとっては厄介な内部留保課税

仮に、新たに増えた内部留保だけを課税の対象にするとしても、残りの4%の会社にとって、内部留保課税は厄介な課税です。

非同族会社の場合、確かに内部留保を確保していくことこそが、倒産リスク回避に必要な方法だからです。

主に、上場会社が大きな打撃を受けることになるでしょう。しかし、彼らは配当すれば良いだけのことです。しかし、日本的経営の利点である、長期的視点での経営を出来なくするという悪いインパクトを与える可能性もあるので、その点についても何らかの手当が必要でしょう。

4.96%の同族会社が内部留保を増やす必要がない理由

これまで説明せずに進めてきた「96%の同族会社が内部留保を増やす必要がない理由、4%の非同族会社が内部留保を増やす必要がある理由」について説明してみたいと思います。

4−1.96%の同族会社の実情と内部留保の関係

96%の同族会社の場合、会社の資金が枯渇し、倒産寸前になると、オーナー社長が会社に自己資金を貸し付けて延命を図るのが普通です。

なぜなら、そうせざるを得ない事情があるからです。

オーナー社長は、通常、会社の借入金について債務保証をしているため、会社が倒産すると、社長が個人で会社の債務を弁済する義務が発生します。一方で、多くのオーナー社長にとっては、お金を稼ぐために必要不可欠なのが会社です。したがって、会社の資金が枯渇し、金融機関が融資をしなくなった段階だとしても、会社を諦めることは出来ないのです。

なぜなら、そこで会社を諦めるということは、会社のみならず、自分自身の債務の弁済を不可能にするということになるからです。

したがって、内部留保を溜めるというより、困った時に資金を引き出せるかどうかの方が重要なのです。

4−2.4%の非同族会社の実情と内部留保の関係

一方、4%の非同族会社は、会社の資金が枯渇したとしても、会社を潰せば済むことです。(厳密にいえばイコールではありませんが)非同族会社のサラリーマン経営者は、債務保証をしているわけではなく、会社が倒産したとしても、自分がそれを弁済する義務を負いません。また、株主は出資額以上の責任を負わないという有限責任の原則で守られています。

結果的に、サラリーマン経営者は責任を感じて涙ながらに謝罪するかもしれませんが、個人財産を失うことはなく、また、どこかの会社に雇われて仕事をすれば済むだけなのです。

したがって、非同族会社では、会社自体が内部留保という形で資金を蓄えることでしか、会社自らの生存確率を上げることが出来ないという宿命を背負っているのです。つまり、4%の非同族会社の場合には、利益を増やし、その分の納税をしたうえで、内部留保を残すという方法で得られる資金に頼らざるを得ないという実情があるのです。

5.96%の同族会社の社長に求められる対策

96%の同族会社の社長に求められる対策は、内部留保を増やすのではなく、「社長」と「会社」に資金を出来るだけ残すことです。困った時に使えるお金を増やすということです。

結果的に、ムダな法人税の流失を抑えたうえで、生命保険のように社外か、又は、所得税での流失も最小限に社長の手元に資金を蓄えておくことが、最悪の状態を乗り越えるために必要な手立てなのです。

内部留保を増やすために、法人税を支払えば資金が目減りします。その目減りした資金を、さらに所得税をかけて社長の手元に残しても、ムダとは言いませんが、効率は非常に悪いと言わざるを得ません。

社長の管理下の資金を増やすために、税引前の利益を減らすことで、内部留保が減ったとしても、なんら問題はありません。それどころか、会社と社員と取引先を守るという観点においては、これ以上に効果的なことはないのです。

社長は、それを遊行に当てるのではなく、来る、未来のリーマンショック、東日本大震災に備えて蓄えておくという「会社、社員、取引先にとって大事な仕事」をする必要があるのです。

6.これから溜める内部留保課税に期待

ここに書いたことは、財務の教科書からすると真逆の発想です。ですから、鵜呑みにしないで下さい。しかし、賢明な同族会社経営者であれば、その嗅覚で、わたしの理論の正当性を見抜いて下さると確信しています。

もう内部留保は溜めない。

溜めるのは、「社長」と「会社」の資金ということに多くの経営者に気が付いて欲しいと思っています。

7.最後にコマーシャルです。

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山口 真導

山口 真導

過払い税金対策専門税理士株式会社アカウンタックス
中小企業の資金繰りを改善するソフトウェアの開発に失敗し、自社の資金繰りがつかなくなる。その時、利益より資金が大事だとようやく気づく。以来、資金繰りの悩みを節税対策と銀行対策で解決する専門家として活動。中小企業経営者のお金の問題を他人事ではなく自分事として捉え解決している。著書に、起業5年目までシリーズで「資金繰りのキホン」と「節税のキホン」がある。

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