【平成30年度税制改正】個人所得税の基礎控除、給与所得控除、青色申告控除の減額の影響について

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平成30年度税制改正大綱〜個人所得税〜

平成30年度の税制改正大綱が発表されました。

その内容の中で、ビズ部らしく社長に影響のあるものについてお知らせしていきたいと考えています。

今回は、所得税の改正点について説明します。

所得税の改正ですので、社長以外の全国民に関係する改正です。しかし、改正の影響を受けるのは社長のような高額納税者の方です。そういう意味では、ズバリ社長を標的にした改正といっても間違いはないでしょう。

その改正内容について、これからご紹介していきたいと思います。

 ■平成30年度税制改正大綱に関する記事

  1. 所得税この記事はココです。
  2. 事業承継税制
  3. 法人税

0.読むべきか読まざるべきかの判断基準

読んだけど、自分には関係なかった。。。。orz と思われるのも申し訳ないので、最初に今回の改正の影響を受ける条件をまとめた表を紹介したいと思います。

まとめ表

現在、毎月、役員報酬を額面で70万円超受けとっている方は増税の影響を受けます。また、副業をされていて電子申告をしたことがない方も増税になりますので、読み進めて下さい。

次に、それほど役員報酬を受けとっていない方のうち、平成32年頃には、額面で70万円超受けとっている予定の方も読み進めて下さい。

平成32年頃には、そんなに役員報酬を受けとっていないという方は、どうするか考えて下さい。出来たら読んで頂きたいですが、現状と所得税額が変わるということはないです。

1.平成30年改正のうち所得税の改正の概要

今回の所得税の改正を、一言でいうと「所得控除の増・減額」です。

所得控除というのは、給与所得や事業所得といった各種所得から減額することが出来る項目のことです。この減額幅が拡がったり狭まったりするのが今回の所得税改正です。

改正前

上図のように、額面金額から控除額を差し引いて計算された課税所得に対して、税率を掛けて所得税額は計算されています。

この控除額が減額されるということは下図のような状況が発生するということです。(増額されると逆の効果が発生します。)

改正後

控除額が減額された分だけ課税所得が増加することで、同じ税率を掛けた場合には、所得税額が増額されます。

まずは、この仕組みを理解したうえで、個別の改正点をみていきましょう。

なお、実際に改正内容が適用されるのは平成32年度の所得税からです。

2.基礎控除は38万円から48万円へ、10万円の増額?

まず、最初に基礎控除の10万円の増額について、説明したいと思います。

基礎控除は、全ての所得を合算した後に適用される控除です。つまり、自営業(事業所得者)でも社長やサラリーマン(給与所得者)でも全国民が等しく受けられる控除項目になります。

この基礎控除の金額は原則10万円増額されました。したがって、ここだけ切り取ると【減税】効果のある改正といえます。政府自民党の発表では、働き方の多様化に対応して、働き方の違いによる不公平感の是正が目的ということです。目的が何であれば、税金が安くなるのは大歓迎ですね。

ところが、これだけで済ますほど、お上は優しくはありません。

この話には続きがあります。。。

じつは、所得の金額が高い人の場合、基礎控除がゼロになるケースも出てくるのです。

具体的には下表をご覧下さい。

基礎控除の額

このように年間の基礎控除前の所得の額が2,400万円を超えると、少しずつ減額され、2,500万円を超えるとゼロになります。

毎月、215万円以上の役員報酬を受けとっている社長の場合、基礎控除の減額の影響を受けることになります。

税率が住民税と合わせて50%として考えると、24万円の手取り収入が減ることになります。

増税した側からすれば、毎月215万円以上役員報酬をもらっている社長からしたら少ない金額と思っているのかもしれませんが、10年で240万円、20年で480万円と考えると、とても大きな手取りの損失だと思います。

※月額215万円の根拠:(2,400万円+195万円)÷12ヶ月≒215万円

3.給与所得控除を一律10万円引き下げ、さらに上限額を195万円に引き下げ

基礎控除は10万円増やしますが、給与所得控除は10万円引き下げられます。

つまり、給与所得者の場合、基礎控除の10万円増と給与所得控除の10万円減とで、相殺してプラスマイナスゼロということになります。

給与所得控除

これだけなら、増減税ともにナシの中立という話なのですが、こちらもこれだけではありません。

給与収入が850万円の場合に給与所得控除の額が195万円で上限に達して、これを超える収入の人は一律195万円の控除しか受けられなくなります。ということで、850万円以上の給与所得者の方はマイナスの効果しか残らないということになります。

給与収入850万円ということになれば、月給に換算すると約70万円というところが増減税の境目のラインとなります。この金額だと多くの社長が該当することになるので、社長にとっては今回の改正は【増税】ということになります。

※月額70万円の根拠:850万円÷12ヶ月≒70万円

給与所得控除

ここまでの基礎控除の増額と給与所得控除の減額による増税額について財務省が試算したとされる資料が日経新聞(2017年12月12日朝刊)に掲載されていましたので、ご紹介したいと思います。

所得税増税額 Myニュース 日本経済新聞

明らかに高額「給与」所得者狙いの改正だということが分かりますね。

すなわち、社長狙い、医者狙い、という風にわたしは感じました。皆さんはどう感じられますでしょうか。

4.平成30年改正の影響を軽減する所得金額調整控除の新設

これまでも扶養控除から子供手当への移行、そして子ども手当の減額という経緯にのちの、今回の増税は、相当な批判を浴びる可能性があります。

そこでガス抜き的に出てきたように見えるのが、所得金額調整控除という話です。

下記の要件を満たす場合には、下記の数式による控除額の増額があります。

  1. 本人が特別障害者に該当
  2. 23歳未満の扶養親族を有する
  3. 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する

上記の場合に、

(給与等の収入金額(※)−850万円)×10%

※1,000万円を超える場合は1,000万円

結果的に、上記3要件を満たしていて、かつ基礎控除が満額の48万円受けられる範囲内に入っていれば、今回の改正で増税となることはありません。

要件を満たして、かつ、月額でおよそ80万円から215万円の範囲内の方は大丈夫ということになろうかと思います。

※月額100万円の根拠:1,000万円÷12ヶ月≒80万円

5.青色申告特別控除は電子申告すれば現状維持の65万円→紙で申告すると55万円に減額

副業で個人事業として不動産業や飲食店を経営されている経営者や、節税目的で太陽光発電やコインランドリー事業などをされている方も多いと思います。そうした事業所得のある方に影響のある改正事項です。

時代の流れといえば、それまでですが、遂に、電子申告するかどうかで控除の金額に差を付ける時代が到来しました。

  1. 65万円を55万円に減額する
  2. 期限内に電子申告したら65万円に増額する

(税制改正大綱21ページ)

紙で申告をする場合で基礎控除の上限に達しないヒトの場合には、青色申告特別控除が10万円減額になった代わりに、基礎控除が10万円増えるので、増減税ナシとなります。一方で、電子申告を行うヒトで、基礎控除の上限に達しないヒトは、青色申告特別控除の金額は据え置きですが、基礎控除が10万円増額するので、合計75万円の控除が受けられるようになります。

期限後申告の場合には、電子申告だろうが紙だろうが55万円になるというのも重要なポイントです。とりあえず、中途半端な状態でも期限内に申告して65万円控除しておくということが必要になりそうです。

6.まとめ:所得税の平成30年改正による増税額はいくらなのか?

ここまで所得税に関する改正内容について説明してきました。

最後にまとめとして、結局どのくらい影響があるのかについて、説明したいと思います。

6−1.役員報酬の額が月額70万円以下の社長の所得税への影響

役員報酬の額が月額70万円以下の社長は増減ゼロです。

但し、副業をされている場合は、期限内に電子申告がマストになります。(副業に関しては、以降、全てのケースで同じです)

6−2.役員報酬の額が月額70万円超、215万円以下の社長の所得税への影響

役員報酬の額が月額70万円超、100万円以下の社長の場合、場合分けが必要です。

上記4で説明した、「所得調整控除」の要件を満たす場合には、増減ゼロの現状維持です。

しかし、満たさない場合は、給与所得控除額が増加しないため、所得税は増えてしまいます。

影響額は、日経新聞(2017年12月12日朝刊)に掲載されている表のとおりになります。

所得税増税額 Myニュース 日本経済新聞

6−3.役員報酬の額が月額215万円超の社長の所得税への影響

役員報酬の額が月額215万円超の社長の場合、必ず所得税は増税です。

基礎控除が減額されていくからです。

影響額は、再三ご紹介している日経新聞(2017年12月12日朝刊)に掲載されている表のとおりです。

7.社長の所得税の節税対策はどうすれば良いか?

改正内容はご理解頂けましたでしょうか?

今後の社長の節税を考えると、所得税の増税トレンドというものを無視することは出来ません。この増税への「個人としての」対抗策は、以前に書いた「全ての起業家に捧ぐ!オーナー社長の所得税の16の節税対策」が参考になるはずです。

しかし、大きく対策しようと思ったら、「法人」で所得税対策をするべきです。

「法人は法人税でしょ」と思った人は税金がダダ漏れ状態です。法人税減税、所得税増税というトレンドは、今回の改正で始まった訳ではありません。5年以上前から進行しているトレンドです。

顧問税理士は、会社の法人税を見ているかもしれませんが、法人税に一生懸命になるより、社長の所得税に一生懸命になった方が見返りが大きいという状況は、5年以上前から発生しているのです。

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山口 真導

山口 真導

代表取締役株式会社起業ナビ
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