こんにちは、公認会計士・税理士の山口真導です。
本記事では、法人を設立して社長になった場合、車を法人で購入するべきか個人で購入するべきかという疑問について、具体例を交えて解説します。
このテーマは、節税に関心のある経営者にとって非常に重要なポイントです。
しかし、多くの方が「法人税の節税」という観点だけで語られる一般的な説明にとどまっています。
本記事では、所得税と法人税の違いを踏まえた本質的な理解を提供します。
※この記事を文章で読むより動画で確認されたい方は、この記事の末尾にある動画をご覧下さい。
Contents
1.法人で車を購入するべき理由:結論と誤解
車を法人で購入するか個人で購入するかは、よくある節税のテーマです。
結論から言うと、迷わず法人で購入すべきです。
しかし、その理由に関しては多くの誤解が存在します。
たとえば、「法人税の節税が主なメリット」と考えられがちですが、実は本質的な節税効果は所得税にあります。
2.具体例:600万円の車を購入する場合
2-1.一般的な説明の誤り
たとえば、600万円の車を法人で購入するとします。
この場合、耐用年数を6年と仮定すると、年間100万円を経費として計上できます。
法人税率が30%の場合、6年間でトータル180万円の法人税が節税される、というのがよくある説明です。
この説明は一見正しいように思えますが、本質的ではありません。
「法人税の節税」に限った話をすれば、実は社長が個人で車を購入した方が効果的です。
2-2.所得税の節税効果が本質
仮に社長が個人で600万円の車を購入するとしましょう。
この場合、所得税率が50%であれば、600万円の購入資金を用意するために1,200万円の役員報酬を支給する必要があります。
役員報酬1,200万円は全額が法人の経費となるため、法人税は車両を法人で購入する場合より、600万円分多く節税できます。節税効果は1,200万円の30%で360万円となります。
一方、法人で購入する場合、600万円分の経費計上なので法人税の節税効果は180万円にとどまります。
つまり、法人で車両を購入する方が「法人税の節税効果」が小さいのです。
2-3.法人で購入するメリットの本質
それでも法人で購入するべき理由は、所得税の負担が軽減される点にあります。
個人で購入する場合、所得税50%を考慮すると、法人は1,200万円を支給しなければなりませんが、法人で購入する場合は600万円で済みます。
この差額600万円が発生する原因は、所得税です。役員報酬1,200万円を社長に支給して個人で購入するより、法人で買った方が資金負担が少ないのということです。
このように本質的なメリットは、所得税の節税にあり、法人で購入した場合に発生する、減価償却費による法人税の節税(180万円)は「おまけ」なのです。
3.所得税と法人税の考え方の違い
法人で車を購入するべきか個人で購入するべきかを判断する上で、所得税と法人税の違いを理解することも重要です。
3-1.所得税の特徴
所得税は、個人が得た収入に対して課される税金です。
特に注意すべき点は、個人で購入した車の費用がすべて経費になるわけではないことです。
たとえば、個人の確定申告では、車の費用について「自家消費割合」分のみが所得税の経費になります。
これは、その車が仕事とプライベートでどの程度使用されているかを示すものです。
3-2.法人税の特徴
一方、法人税は、法人が得た利益に対して課される税金です。
法人の場合、車が業務のために必要である限り、その費用は全額が経費として認められます。
法人税の申告書には「自家消費割合」を記載する欄はなく、基本的に業務利用が前提とされています。
4.節税の具体例:法人の活用法
法人を活用することで、所得税の節税効果を最大限に引き出すことができます。
たとえば、法人で車を購入するだけでなく、以下のようなケースも節税効果を得られるポイントです。
4-1.交際費の取り扱い
個人事業主の場合、顧客でない友人との会食費は必要経費として認められません。
しかし、法人の場合、「いつか顧客になるかもしれない」という人との会食費も、業務の一環と認められることが多いです。
法人税の大原則である「営利目的に関連する費用は経費として認める」というルールがここに適用されます。
5.まとめ
法人で車を購入するべき理由は、単なる「法人税の節税」ではなく、所得税の節税効果にあるということを理解することが重要です。本記事で解説したポイントを踏まえ、法人を有効に活用することで、手取り額を大幅に増やし、経営をより効率的に進めてください。
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山口 真導
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