会社の事業目的を決めるための8のポイントと4の記載例

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「会社を作って何をするかは決まっているけれども、それをどんな風に定款に記載すれば良いか?」

そういう方のために、この記事をご用意させて頂きました。

実は、単に、いま、あなたが思っていることだけ、文字にするだけでは足りない!ということもあるんです。

そこで、会社の目的の決め方の8個のポイントをご紹介するとともに、実際に4業種の会社の目的を例示してみたいと思います。

1.定款に記載するのは「実際に行う事業」

会社の目的を定款に記載する理由は、それをみて設立時の株主が出資するかどうかを決めるからです。つまり、何をして利益を得るのかを株主に示し、株主が安心して出資できることを目的としています。

また、会社の目的が登記簿謄本に記載されることで、その事業の範囲内での法人格を与えられます。そのためあくまでも理論上の話にはなりますが、登記簿謄本に記載がなければその事業を行うことは出来ないのが原則です。

会社の目的は、会計処理にも影響を与えます。

会社の目的の範囲の収入は本業の「売上」として処理され、会社の目的の範囲外の収入は「営業外収益」として処理するのが正しい処理だからです。例えば、自社の不動産を賃貸している際に、定款の目的に不動産賃貸業という記載があれば、賃貸収入は売上になりますが、そうでなければ営業外収益として処理することになります。

融資において金融機関が重視すると言われる損益計算書の売上総利益、営業利益の金額は、営業外利益を除いた利益になります。それなら「営業外収益」ではなく「売上」として処理した方が有利です。そういう意味でも、会社の目的を定款、登記簿謄本に正しく反映させることが大切なのです。

2.「将来行う可能性のある事業」も書く

定款に記載される会社の目的は、後から追加や修正をすることが出来ますが、その際、登録免許税を3万円負担する必要があります。「3万円は高い!」と思っても定款に追加しなければその事業を行えないのがルールです。

そのため、会社設立時に将来行う可能性がある事業を含めて記載しておくのが大事なポイントです。定款に記載したからといって必ずその事業を行わなければいけない、ということはないのです。

しかしだからといって、今すぐに行わない事業を全て記載した方が良い、ということではありません。そのことについては「4」にてご説明します。

3.会社の目的の数は最大10個程度

将来行う可能性がある事業も記載するとなると事業の数が結構増えると思います。定款に記載する会社の目的の数に制限は無いため全て記載することも可能です。しかし、あまりにも色々な種類のものが沢山書いてあると何をする会社か解らなくなります。

例えば、すし屋の経営を行っている会社が漁業や採貝・採藻業も行っている場合は、特に違和感はないですが、建設工事業が目的に入っていたら、何の会社だかよく解らないというのも理解頂けると思います。

こうした、やたらに定款の目的が多い会社は、それが融資や補助金をもらう際に不利に働くことがあります。どの事業にその資金を使うのかが解らないからです。

会社の目的は欲張り過ぎず、最大10個程度を目安に考えると良いと思います。

4.不用意に目的に追加しない方が良い目的

金融機関等から融資を受けたい方に注意してもらいたいのが、実際にその事業を行っていなくても、定款・謄本に記載があるだけで融資や保証が受けられない事業があるということです。

農業・漁業、性風俗関連業、金融業、保険業などは融資や保証の対象外業種とされていること「も」あります。各都道府県の信用保証協会のホームページをご覧頂き確認して下さい。東京都の信用保証協会の場合は、下記リンクで確認して頂くことができます。

http://www.cgc-tokyo.or.jp/pdf/cgc_taisyougai-list-h28.pdf

また、日本政策金融公庫はホームページに記載がありませんが、基本的に信用保証協会と同じスタンスと思って頂く必要があります。

上記のPDFに記載されているような事業については、いますぐ取り組む予定がなければ、入れないようにしましょう。

5.会社の目的に入れ忘れてはいけない事業

会社の目的に記載がないと行えない事業があります。いわゆる許認可事業と呼ばれるもので、事業を行うために警察署や保健所、都道府県などの行政機関に対して手続きを行う必要がある事業のことをいいます。これらの事業を許可するかどうかの審査を行う際に、最初に確認されるのが定款・謄本の会社の目的です。そこに記載がなければ、それ以上審査をしてもらうことは出来ないのです。

主な許認可事業とは、①レストラン・喫茶店・弁当販売などの飲食店業、②菓子・パン・惣菜などの食品製造業、③労働者派遣業・職業紹介業、④不動産業などがあります。

これらの事業を行う予定のある方は、定款に必ず記載するようにして下さい。

6.会社の目的にアルファベットは使えない

会社の目的に使用できる文字は、「ひらがな」「カタカナ」「漢字」の日本語の文字と決められています。アルファベット等の外国の文字は使えないので注意して下さい。

例えば、「AWS監視受託業務」は「アマゾンウェブサービス監視受託業務」と日本語とカタカナに置き換える必要があります。とはいえ、「Tシャツ」や「IT」のように完全に日常生活に溶け込んでいる言葉はそのまま使用できます。

でも普段使っている外国文字をどうやって訳せば良いのか困るのではないでしょうか。その時はまずは「現代用語の基礎知識」や「イミダス」などの書籍を見て訳しましょう。それでも分からない場合は「英和辞書」を引き、それでお心配な場合は、法務局に電話するなり相談窓口に行くなりして確認しましょう。

7.最後は「前各号に附帯または関連する一切の業務」がお約束

「前各号に附帯または関連する一切の業務」と記載することで、会社の目的に記載してある事業に関連する業務も「範囲内」ということになります。多少のことで登記の変更をしなくても済む「魔法の言葉」です。この記述によって事業にある程度の幅を持たせることが可能になるため、必ず記載しましょう。

8.法務局の相談窓口は「無料」

ここまで説明してきて、最後に申し上げるのは大変心苦しいのですが、法務局の相談窓口に行くと、ここまで話してきたことを含めて具体的にあなたの考えてきた会社の目的で登記出来るのかどうかを、無料で教えて貰うことが出来ます。

かつて、会社法が商法と呼ばれていた時代には、会社の目的には、適法性と明確性と営利性が求められるとされてきました。しかし、会社法に代わって、審査の仕方が代わりました。実務上、会社の目的が問題で登記申請が通らないということが、ほとんどなくなりました。

さすがに人殺しや誘拐など違法なものが認められることはありませんし、全ての目的がボランティアという会社も認められることはありませんので、適法性と営利性については、引き続き、注意を払う必要がありますが、明確性という、もっとも厄介な部分の審査が、実質的にほとんど行われなったことは朗報といえるでしょう。

それでも、これから初めて会社を設立しようという方にとっては、自分の考えた定款の目的の内容の良否を判断するのは、難しいと思います。法務局の相談窓口を積極的に利用するのも一つの手段だと思います。東京法務局の場合、事前予約が必要です。一度電話してからの方が無難です。

 http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000244.pdf

定款認証をした後に登記申請が通らないと定款認証料がムダになります。法務局の相談窓口に行くのは公証人役場で定款認証をしてもらう前に行くようにして下さい。

9.業種別の定款・謄本の目的の記載例

ここまで説明してきたことを踏まえて、飲食業、コンサル業、システム開発、ウェブ製作の4つの業種の定款・謄本の目的の記載例をご紹介したいと思います。

9−1.飲食業

  1. 飲食店の経営食料品の製造及び販売(※1)食料品、飲料、酒類の輸入及び販売たばこの販売(※2)

前各号に附帯または関連する一切の業務※1:おみやげの提供なども考えると入れておきたい項目です。

※2:居酒屋、スナック等でたばこを提供することが想定されるなら入れておきましょう。

9−2.コンサル業

  1. 経営に関する問題点の調査・分析・改善案の企画・立案経営に関する出版物の企画、執筆、印刷及び販売経営セミナーの実施前各号に附帯または関連する一切の業務

9−3.システム開発(自社ウェブサービスを提供)

  1. インターネットを利用したビジネスの企画、開発、運営インターネットを利用した各種情報提供サービス及び商取引並びに情報処理サービス業コンピュータシステム及びソフトウェアの企画、開発、制作、販売及び賃貸借インターネットにおけるサーバーの構築、運用、管理

前各号に附帯または関連する一切の業務

9−4.ウェブ製作

  1. インターネットのホームページの企画及び製作インターネットでのコンテンツ企画、制作及び運営管理販売促進活動に関するコンサルティング業務広告の企画及び製作並びに広告代理業務(※1)

前各号に附帯または関連する一切の業務※1: ウェブ制作を始めればインターネット広告の仕事はつきものです。

10.まとめ

会社の目的の決め方を全てお伝えしました。

ポイントは以下の5つです。

①一部の事業を抜き、将来行う可能性がある事業は記載

②目的の数は多くても10個程度まで

③許認可事業に注意

④日本語の文字を使う

⑤最後に必ず「前各号に附帯または関連する一切の業務」と記載

上記のポイントと実例集を参考にあなたの会社の目的を考えてみて下さい。


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山口 真導

山口 真導

代表取締役株式会社起業ナビ
中堅・中小ベンチャー企業から上場企業まで幅広い顧客に対して主に経理アウトソーシング事業を提供している。同事業を通じて経営者目線で財務・会計・税務の問題解決ができるCFOの育成・輩出を目指している

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