起業して右も左も分からない時に不安になるのが、「いま何をすれば良いのか?」ということだと思います。「何かやるべきことが漏れていないか?」という不安が最初の数年はつきまとうのが普通です。
そうした不安から解放するのが、我々起業サポーターである税理士の仕事です。
この記事では、スケジュールということに焦点を充てて、起業後にやらなければならないことを明らかにしていきたいと思います。
1.経理事務の年間スケジュール
年間スケジュールとは、年単位で発生するイベントの日程です。
年間スケジュールには、次の2種類があります。
- 暦年スケジュール
- 年度スケジュール
それぞれ説明していきたいと思います。
1−1.暦年スケジュール
暦年スケジュールとは、どの会社にも共通して、1月1日から12月31日までの暦に対応して発生するイベントの日程のことをいいます。
暦年スケジュールで発生するイベントとその日程は次のとおりです。
1月20日:源泉税の納期の特例の適用を受けている会社の納税(7月〜12月支給分)
1月31日:償却資産税申告書の提出
1月31日:法定調書の提出
1月31日:給与支払報告書の提出
6月の給与支給日:(個人)住民税額の更新
7月10日:労働保険申告書の提出
7月10日:社会保険算定基礎届の提出
7月20日:源泉税の納期の特例の適用を受けている会社の納税(1月〜6月支給分)
9月の給与支給日:社会保険料の更新
12月の給与支給日:年末調整
2−1.年度スケジュール
年度スケジュールとは、その会社の事業年度に応じて、発生するイベントの日程のことをいいます。
事業年度開始の月が1月(12月決算の会社)とすると、その日程は次のとおりです。
【決算期末日から2ヶ月】
2月28日:消費税の申告・納税期限日
2月28日:法人税の申告・納税期限日(申告については延長していない前提)
【決算期末日から3ヶ月】
3月31日:定時株主総会の開催期限日(定款に3ヶ月以内開催と記載されている前提)
3月31日:法人税の申告期限日(延長している場合)
【決算期末日から8ヶ月】
8月31日:法人税の中間申告・納税期限日(消費税については中間納税1回の場合の期限日※1、2)
【決算期末日から12ヶ月】
12月31日:決算日
※1:消費税の中間納税については、前年度に消費税の納税額に応じて中間納税の回数が異なります。
直前の課税期間の確定消費税額 | 48万円以下 | 48万円超から 400万円以下 |
400万円超から 4,800万円以下 |
4,800万円超 |
---|---|---|---|---|
中間申告の回数 | 原則、中間申告不要 ただし、任意の中間申告制度あり(注2) |
年1回 | 年3回 | 年11回 |
中間申告提出・納付期限 | 各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内 | (図1のとおり) | ||
中間納付税額 | 直前の課税期間 の確定消費税額(注1)の6/12(注3) |
直前の課税期間 の確定消費税額(注1)の3/12(注3) |
直前の課税期間 の確定消費税額(注1)の1/12(注3) |
|
1年の合計申告回数 | 確定申告1回 | 確定申告1回 中間申告1回 |
確定申告1回 中間申告3回 |
確定申告1回 中間申告11回 |
※2:法人税については、法人税の額が20万円未満の場合には中間申告は不要となっています。
2.経理事務の月間スケジュール
月間スケジュールとは、月単位で発生するイベントの日程です。
会社によって、例えば給与支給日が異なるなど、下記はある会社の一例でしかありませんが、具体的には次のような日程で作業を行います。
毎月1日:前月末の入金確認
毎月1日:未回収債権の督促
毎月1日:通帳記帳
毎月10日:源泉税の納税(主に個人事業主に対するもの、又は納期の特例の適用を受けていない場合)
毎月10日:(個人)住民税の納税
毎月15日:取締役会で月次決算の報告
毎月25日:給与支給・社員立替金精算
毎月31日:経費の振り込み
3.スケジュールのまとめ
必ずやらなければならないことについては、予めカレンダーに登録しておきましょう。
また、アラートを誰が出すのかの役割を明確にしておくのも重要です。
ここで書いたスケジュールは税理士であれば誰でも理解している内容ですが、それを、間違いなく、適切なタイミングであなたに教え、指示してくれるかどうかが、税理士選びのポイントであり、仮にそうした対応が可能かどうか不明であれば、顧問契約を締結する前に、あなたの側から積極的に確認しておくべきポイントだと思います。
是非、参考になさって下さい。
山口 真導
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