役員社宅で今の倍以上節税する方法

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今回は、割とポピュラーな節税方法と言われている役員社宅についてお話していきます。世の中では、「家賃×50%」を社宅費としている会社が多いのですが、果たしてそれが最善の節税なのでしょうか。

なるべく難しい解説はせずに、かつ、金額を使って、お話していきます。

結論から言いますと、

「家賃×50%」はナンセンス!

です。

 (出所:3-1-2-2 社宅規程

0.役員社宅を使った節税手法

通常、家賃というものはもらった給料の中から支払います。そうすると、その支払った家賃は次のような関係になります。

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個人で家賃を支払う場合、その家賃は何の経費にもなりません。単純にキャッシュアウトしておしまいです(一般家庭は皆そうですが)。これでは、全く節税になりません。

そこで活用したいのが役員社宅制度です。社宅と言うと従業員だけのものに思われるかも知れませんが、役員であっても社宅に住むことができます。

役員社宅は、会社が賃料を支払ってマンション等を借りて、それを役員に転貸(「借上社宅」と言います)し、役員から賃料を受け取ります。そうすると、次のような関係になります。

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役員社宅を利用しなかった場合、支払った家賃は何の経費にもすることができませんでしたが、借上社宅の場合には支払った家賃を経費にすることができます。

ただし、有償で借りているものを無償で貸与する訳にはいきません(役員給与になってしまいます)ので、一定額の家賃を役員から受け取ります。この受け取った金額は収益として計上します。

つまり、「支払家賃-受取家賃」が法人の損金になります。

 

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もちろん、会社が支払っている賃料と同額の賃料を役員が支払っていては意味がありません。通常は、会社が支払っている金額より少ない金額の賃料を役員から徴収することになります。

そうしますと、実質的に、役員が負担すべきだった賃料を会社が負担してくれたことになります。

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本来であれば、役員は毎月20万円の家賃を自己負担しなければなりませんでしたが、社宅にしたことにより8万円の負担で済みます。実質的に12万円の給与を無税で受け取れたことになります。もちろん、その12万円は会社の損金になりますので、その分、法人税を節税することができます。

役員の所得税と法人税の2重節税になるイメージですね。

 

1.一般的な「家賃×50%」、実は損してる?

(1)役員社宅の賃料を決める3つの区分

さて、それでは、役員は会社にいくらの賃料を支払えば良いのでしょうか。できることなら支払う金額を少なくしたいですよね。

役員社宅の賃料は、以下の3つに区分され、それぞれ計算方法が異なります。

  • 小規模住宅
  • 小規模住宅以外
  • 豪華社宅

 

なお、ここで言う小規模とは、床面積ベースで耐用年数30年以下の場合は132平米以下、耐用年数30年超の場合は99平米以下である住宅を指します。つまり、ほとんどの住宅は小規模住宅に該当します。

ですので、本編では小規模住宅についてのみ解説していきます(その他についてはQ&Aをご参照下さい)。

(2)小規模住宅の賃料

小規模住宅に該当する場合の賃料は、以下の七面倒な算式により算定します。

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そして、この算式で計算するのが面倒な場合は「家賃×50%」でも良いことになっています。多くの会社で「家賃×50%」としているのは、これが理由なんですね。

ただ、上記の七面倒な算式で計算した金額の方が低ければ、「家賃×50%」よりもお得になるということになります。

そして、ほぼ間違いなく上記算式で計算した方が月額賃料は低くなります。つまり、「家賃×50%」を賃料とすると節税額が少なくなっていることになります。

とは言え、固定資産税の課税標準額なんてよくわからない・・・と思われている方もいらっしゃるでしょう。しかし、安心して下さい。借地人・借家人であれば誰でも固定資産税の課税標準額を知る手段があるのです。それが、「閲覧制度」と呼ばれるものです。

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東京都主税局のHPより抜粋)

上記のように、借地人・借家人であれば固定資産課税台帳を閲覧することができます。なお、固定資産課税台帳とは、以下のものです。

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東京都主税局のHPより抜粋)

固定資産課税台帳には課税標準である価格等が登録されていますので、ここでチェックすることができるということですね。

そして、証拠として固定資産課税台帳の写しを貰っておけばOKということになります。なお、写しをもらう際は、

  • 身分証明書
  • 賃貸借契約書又は権利関係を確認できるもの(コピー可)

 

を持参しなければなりませんので、忘れずに持って行って下さい。

2.「家賃×50%」との差額を計算してみる

(1)節税計算事例

さて、なんだかんだと言われても金額を見ないとわからない・・・というあなたの為に、金額を使って確認していきましょう。

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ということで、七面倒な方法を使いますと月額28,720円少ない賃料で済むことになります。年間にしますと、約34万円です。34万円の自己負担減・費用増が見込めるということですね。

(2)節税額シミュレート

仮に、法人税率35%、所得税率30%とした場合、以下の金額が節税額になります。

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たった1回、都税事務所等に行くだけで、年間22万円もの節税ができます。しかも、住宅はずっと住むものですので、この節税額は毎年実現されます。

あなたはまだ「家賃×50%」で賃料を計算しますか?

3.役員社宅を使った節税まとめ

役員社宅を使った節税は非常に有用な手段です。ポイントは、法人が実質的に負担する賃料相当額は本来であれば役員給与になってしまうという点です。特例として、一定額以上の賃料を受け取っていれば、その差額は役員給与にしませんよという体系になっています。

役員給与になってしまいますと、法人税では損金不算入となるにも関わらず、所得税はしっかりと課税される2重課税となります。

そうなるのが怖いから、「家賃×50%」という賃料を設定している会社がほとんどだと思います。しかし、固定資産課税台帳を閲覧し、写しを持って帰ってくれば、何の問題もなく賃料相当額として認められます

弊社のお客様で、月額家賃28万円のマンションの賃料を21,158円としている会社がありました。当然、税務調査で指摘されましたが、固定資産課税台帳のコピーと賃料を算定した計算式を見せたところ、何も言われませんでした。

役所に行って写しをもらってくるだけですので、半日もあれば十分終わらせられる業務です。そして、その節税効果は絶大ですので、「家賃×50%」にしてしまっている場合は、ぜひ、ご検討下さい。

番外)持ち家を会社に売却して社宅にする節税はアリかナシか

役員が持ち家に住んでいる場合、社宅の適用が受けられません。それでも社宅がイイ!という場合は、次のような方法が考えられます。

(1)自宅を賃貸に出し、自身は社宅に住む

自宅を売却せずに賃貸に出し、賃料を受け取りながら自分は社宅に住むという方法です。自宅の借り手が付けば、有用な方法と言えます。ただし、どうしても今の家に住みたいという方については不向きな方法になります。

(2)自宅を会社に売却し、会社から自宅を社宅として賃貸する

自宅を会社に売却して会社所有とし、それを社宅とする方法です。これをやりますと、自宅に係る固定資産税や利息等の費用も会社が負担することができます。

ウルトラCのように思えるかも知れませんが、デメリットもあります。それは、売却代金が高額であるということです。普通の住宅であっても数千万円はするでしょう。

そうしますと、数千万円を会社が支払わなければなりません。当然、借入をすることになりますが、住宅ローンのように35年といった超長期の借入を法人はできません。通常は、長くても10年程度でしょう。

社宅家賃は雀の涙ですので、返済金額と受取金額に大きな乖離が出ます。つまり、資金繰りが著しく悪くなる恐れがあるのです。

(3)どちらがオススメか

私は(1)を推奨します。資金繰りに余裕がある会社であれば(2)を検討しても良いでしょう。ですが、ほとんどの会社はそこまで余裕はないと思います。であれば、自宅は賃貸に出して自分は社宅に住む方が良いでしょう。

なお、いずれの方法にせよ、個人の住宅ローン控除が終わってから検討された方が良いと思います(賃貸に出した場合は住宅ローン控除の適用はありません)。

Q&A

Q1.小規模住宅以外の社宅について

次の金額の合計額が月額賃貸料相当額になります。

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通常の賃貸物件であれば、上記(1)の金額と「家賃×50%」とのいずれか多い金額になります。つまり、最低でも「家賃×50%」になってしまうということですね。

余程の理由がない限り、小規模住宅にしておきたいものです。

Q2.豪華社宅について

豪華社宅とは、床面積が240平米を超えるもののうち、賃料や内外装の状況等を勘案して判定されます。また、例えば庭にプールがあったり、地下にワインセラーがあるなど、個人の嗜好を著しく反映したような設備がある物件については、240平米未満であっても、豪華社宅に該当します。

豪華社宅に該当する場合、賃料相当額は時価となります。つまり、家賃については1円のメリットもありません。ただし、礼金や手数料などの住宅に係る費用については法人の経費にすることができますので、それだけでも社宅とする価値はあります。

Q3.使用人の社宅について

使用人の社宅については、基本的に役員の小規模住宅と同じ計算になります。ただし、七面倒な計算を簡略化して「家賃×●%」としている会社も見受けられます。実際、私がいた会社では「家賃×15%」が自己負担額でしたが、税務調査で指摘されることはありませんでした。

15%の根拠は七面倒な算式で計算した場合、10%~20%程度になることが多いことから、その間を取って15%としたのではないかなと推察されます。

社宅規程で家賃の上限・割合等を定めておけば、余程な比率を使用しない限り、否認される可能性は低いと考えられます(絶対ではありませんので、参考まで)。

ひとまず、「家賃×15%」を1つの目安にして頂ければと思います。

Q4.タワーマンションはさらにお得?

タワーマンションの場合、建物の比率が非常に高くなります。建物は減価償却ができますので、固定資産税評価額が下がります(逆に土地は基本的に下がりません)。つまり、タワーマンションの方が普通のマンションよりも「評価額が低くなる=賃料相当額が下がる」ことになります。

参考までに、都内にできる某タワーマンションでは、以下のようになっています。

敷地面積:2,985平米
建築延床面積:36,113平米
土地・建物割合:1:12

これを先ほどの例を当てはめてみましょう。

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さらに、これは新築を前提としていますが、中古の場合は建物の評価額がさらに落ちます。よって、賃料相当額はどんどん下がっていくことになります。ご参考までに。

Q5.固定資産税評価額の見直し

土地・家屋の固定資産税評価額は、3年ごとに見直しがされます(著しい下落があった場合は、これ以外にも修正されることがあります)。見直しがされる年度は和暦ベースで3の倍数年度になります(直近ですと平成27年、次は平成30年といった具合です)。

本来であれば、見直されるごとに賃料相当額も見直す必要があります。使用人社宅の場合は、増減額が20%の範囲内であれば修正不要とされている(所基通36-46)のですが、役員社宅については明文化されていません。すなわち、修正する必要があるということになりますので、3年ごとに固定資産税評価額を確認し、賃料相当額を修正しなければなりません。

ただし、実務的にはそこまで固定資産税評価額が上がるケースは無い(下落の場合は指摘されません)ですし、仮に、土地が500万円上がっていたとしても、500万円×0.22%×1/12=916円/月の影響しかありません。この程度であれば、指摘される可能性はほとんどないのではないかと思います。計算する方が面倒です。

なお、3年に1回ですので個人的には確認しておいても良いかと思います。評価額が下がっていれば賃料相当額も下がりますので、さらに節税効果が増えますからね。

 


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