決算書の読み方基礎の基礎編~貸借対照表と損益計算書の意義と簡単な分析をしてみよう~

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決算書と聞くと、

 「どんなものだろう?」

 「決算書って結局なに?」

 「決算の書類ということはわかるんだけど・・・」

 という風に、「よくわからない」というご意見を頂きます。

 決算書を簡単に言うと、会社の通知表です。1年間、どうでしたか?を記載した書類が、決算書なんですね。 今回は、そんな決算書について、少し詳しく確認していきましょう。

 

0.そもそも決算書とは

 決算書は、第三者に対して会社の会計期間(通常は1年間)の成績を公表するために作成します。なお、第三書とは、投資家・金融機関・債権者・税務署等になります。

 決算書では、主に以下のことを明らかにしていきます。 

  1.  その期間で、どれだけ儲かりましたか?
  2.  結局、どんな財産や借金があるんですか?

 

 1を表す書類を損益計算書、2を表す書類を貸借対照表と言います。

  • 損益計算書は、Profit and Loss statementを略してP/L(ピーエル)と呼ぶのが一般的ですので、以下の文中では損益計算書のことをP/Lと表記します。 
  • 貸借対照表は、Balance Sheetを略してB/S(ビーエス)と呼ぶのが一般的ですので、以下の文中では貸借対照表のことをB/Sと表記します。

  P/LとB/Sのほかには、以下のような書類があり、これらを含めて決算書と呼ぶこともありますが、基本はP/LとB/Sになります。 

  • キャッシュ・フロー計算書(1年間のお金の流れを表す書類)
  • 株主資本等変動計算書(純粋な持分の変動を表す書類) 

 

 キャッシュ・フロー計算書につきましては、こちらにより詳しい解説記事がありますので、ぜひ、ご参照下さい。

  ⇒キャッシュ・フロー計算書を理解するために必要な概念

 

1.貸借対照表(B/S)の内容と主な指標

(1)貸借対照表(B/S)の中身

 B/Sは、資産・負債・純資産を表す書類であり、その会計期間の財政状態を明らかにするものです。その会計期間が終わって、結局、どんな資産・負債・純資産が残ったのですか?について答える書類になります。

 B/Sは以下のようなもので構成されます。

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◆用語の意義

  •  資産(お金とお金に替えられるもの、持っている権利など)
  •  負債(借金、将来お金を支払う義務など)
  •  純資産(資産と負債の差額。純粋な自分の持分)
  •  流動(1年以内にお金がもらえるor支払う場合)
  •  固定(1年超でお金がもらえるor支払う場合

  

 通常、B/Sは流動性配列法に従って表示されます。すなわち、1年以内に入出金があるものが流動(正常な営業取引内の債権債務は1年超でも流動になります)、それ以外が固定として、流動から順に配列していきます。

  とりあえず、当座の資産・負債はどの位あるかがパッと見でわかるようになっているんですね。

(2)純資産って何?自己資本??

 また、純資産の分が分かりにくいというご意見をよく聞きますが、ひとまず、純資産とは「資産と負債の差額」と認識しておけばよろしいかと思います。

 資産と負債をNETした差額こそが、純粋な自分の持分(=純資産)ですので、別名「自己資本」とも呼びます。これに対して、負債は他人から調達した資本ですので、「他人資本」とも呼ばれます。

 企業は、自己資本(純資産)と他人資本(負債)という2つの資本を使って、色々な資産を購入して事業をしていきます。これを踏まえて、B/Sの違う見方をしますと次のようになります。

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(3)貸借対照表(B/S)の主な指標

 次に、B/Sの主な指標を確認していきましょう。一般的には、以下の3つの指標が多く利用されています。

・当座比率

 (当座資産÷流動負債)×100

  当座資産とは、現預金・売掛金・有価証券など、流動資産のうち換金性が高いものの合計額を流動負債で割って算出します。1年以内に支払わなければならない借金である流動負債を換金性が高い資産で賄えるのであれば、とりあえず財務的には健全と判断するため、一般に当座比率は100%以上あれば問題ないとされています。

・流動比率

 (流動資産÷流動負債)×100

 流動比率とは、流動資産を流動負債で割って算出します。一般には、流動比率は150%程度あれば問題なし、200%あれば理想的などと言われています。流動比率が200%(流動資産が流動負債の2倍ある状態)あれば、少なくとも1年以内に資金が枯渇するという心配はなさそうですね。

・自己資本比率

 (純資産÷総資産)×100

 自己資本比率とは、総資産(=負債+純資産)のうちに自己資本(この場合の自己資本は、(純資産-新株予約権-少数株主持分)により算定します)が占める割合を指します。この比率が高ければ高いほど、総資産を自己資本で賄っていることになりますので、財務的な健全性が高いとされています。自己資本比率が40%以上あると倒産し辛いと言われています。

 以下、日本農薬株式会社平成27年9月期のB/Sを元に、各比率を算出してみましょう。B/Sの各数値は以下の通りです。

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日本農薬株式会社平成27年9月期決算短信より抜粋)

・当座比率

 ((9,382+14,181+585)÷16,672)×100=144.8%>100% → 非常に優秀

・流動比率

 (41,455÷16,672)×100=248.6%>200% → 非常に優秀

・自己資本比率

 ((51,034-972)÷81,237)×100=61.6%>40% → 非常に優秀

 以上の指標によると、日本農薬株式会社の財政状態は非常に優秀という判断ができますね。

2.損益計算書(P/L)の内容と主な指標

(1)損益計算書(P/L)の中身

 P/Lは、収益から費用を差し引いて利益を計算する書類であり、その会計期間の経営成績を明らかにするものです。1年間でどれだけの収益・費用があって、結局、どれだけ儲かった(損した)のですか?について答える書類になります。

 P/Lは以下のようなもので構成されます。

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  通常、P/Lは上記のように区分表示がされます。段階的に計算することで利益の発生過程を明らかにしています。いきなり、「○億円儲かりました!」では、見ていてもわかりませんよね。

(2)損益計算書(P/L)の主な指標

 次に、P/Lの主な指標を確認していきましょう。一般的には、以下の2つの指標が多く利用されています。

・ROA(Return On Asset 総資本利益率)

  (当期純利益利益÷総資産)×100

  ROAは、当期純利益を総資産で割って算出します。ROAをさらに分解しますと、「売上高利益率×総資本回転率」という形で表すこともできますが、ひとまず、当期純利益÷総資産=ROAと理解しておきましょう。

 ROAは一般に、5%を超えると優良とされています。

 

・ROE(Return On Equity 自己資本利益率)

 (当期純利益利益÷自己資本)×100

 ROEは、当期純利益を自己資本で割って算出します。ROEをさらに分解しますと、「売上高利益率×自己資本回転率」という形で表すこともできますが、ひとまず、当期純利益÷自己資本=ROEと理解しておきましょう。

 ROEは一般に、10%を超えると優良とされています。

 以下、引き続き日本農薬株式会社平成27年9月期のB/S・P/L(当期純利益5,625百万円)を元に、各比率を算出してみましょう。各数値は以下の通りです。 

  • 自己資本 50,062百万円
  • 総資産  81,237百万円

 

・ROA

 (5,625÷81,237)×100=6.9%>5% → 優良

・ROE

 (5,625÷50,062)×100=11.2%>10% → 優良

  以上の指標によると、日本農薬株式会社の経営成績は優良という判断ができますね。

3.おわりに

 今回は決算書の読み方についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。貸借対照表・損益計算書と聞くと「???」と思われてしまう方も、B/S・P/Lと呼び替えることによって、少しだけ親近感が持てたのではないかと勝手に思っています。

  財務分析は、それだけでたくさんの書籍が出ているほど深い学問ですが、今回紹介した指標をベースに、少しずつ色々な指標に触れていってみてはいかがでしょうか。

  個人的に、財務分析を学習したい方にオススメしたいのは、ビジネス会計検定です。大阪商工会議所が主催している検定試験で、今回紹介したような財務分析を一から学ぶことができます。

  日商簿記検定が「作る側」の検定とすると、ビジネス会計検定は「見る側」の検定です。細かい簿記の知識を使わないで財務分析がしたい!という方にはうってつけの検定と言えるでしょう。

  公式テキストも販売されていますので、まずは3級からトライしてみてはいかがでしょうか。かくいう私も、とりあえず2級までは学習しました。職業会計人の方でなければ、日商検定よりもビジネス会計検定の方がオススメです(両方やるのがベストですが)。

  ということで、長文にお付き合い頂きありがとうございました。


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