こんな事業計画書は書くな!事業計画書の書き方の極意と多くの事業計画書に見られた8つの問題点

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事業計画書を作る目的は、自身の事業プランを明らかにするためと資金調達をするためとがあります。恐らく、この記事に辿り着いた方は後者を求めているかと思いますので、今回は資金調達をするための事業計画書の書き方についてお話していきます。

なお、事業計画書の作成にあたり一番重要なことを最初に言っておきます。

◆徹底的に事業のビジョンを明らかにしてから事業計画書を書きましょう

 

0.プロローグ

事業計画書を提出された金融機関は、何を見ているのでしょうか。答えは簡単で、貸したお金を返してくれるかどうかです。

金融機関はお金を貸して利息をもらい、かつ、元金を回収するのが仕事です。したがって、貸したお金が返ってこないと思ったら、絶対にお金は貸してくれません。

それを踏まえて、自分が銀行マンだったらどのような事業計画書にお金を貸すのかを考えながら、内容を記載していくようにして下さい。

1.事業計画書に書くべき8つのポイント

早速、事業計画書に書くべき事項について確認していきましょう。事業計画書の書き方には特に制限はありませんが、少なくても、以下の項目を取り入れていきましょう。

なお、金融機関等のフォーマットを利用する場合に、下記の該当事項がなかった場合は、別紙を作成して添付する等して、提出するようにして下さい。

(1)事業プランの名称

 この名称を見ただけで、何をやりたいのかがわかるようなものにしましょう。言わば、キャッチコピーですね。

  例えば、サンクレイドル検見川浜では、「ストックホルムをお手本にした躍進する千葉海浜ニュータウンの中心」というコピーを付けています。千葉海浜ニュータウンという町を知らない人でも、何となくお洒落そうな町なんだな、行ってみたいなと思うのではないでしょうか。

  印象に残り易いコピーを付けることは、非常に大切だと思います。

(2)事業内容

 次に事業の内容です。これは事業計画書の中でも一番核の部分です。ここを外してしまっては元も子もありません。最も時間を掛けて良い事項と言えるでしょう。

 具体的には、自身が提供できる商品・サービスで、お客様が求めているものを事業内容とするのが良いでしょう。そして、その根拠を書いていけば自ずと素晴らしい事業内容の説明ができます。

 ただし、簡単には決まらないと思います。ゆっくり時間を掛けて書きましょう

(3)マーケットサイズ

 あまりにも狭い市場では、利益も小さくなってしまう可能性があります。ですが、大きければそれだけ競合もいる訳ですので、ただ大きければ良い訳ではありません。自身が提供するサービスの市場をしっかりと定義し、その市場ではこれだけの需要がありますので、十分利益は出せますよということを記載します。

(4)競合について

 強大な競合がいるような場合、マーケットシェアを奪えない可能性が高くなります。そこで、競合を調査して、この市場で自身が食い込んでいけるかについて書いていきます。自身の商品・サービスがいかに競合より優れているか、競合にどう入り込んでいくことができるかといった内容を記載します。

(5)マーケティング

 どうやってマーケットシェアを増やしていくのかについて、具体的な手法を書いていきます。また、マーケティングに係る費用についても記載しておいた方が良いでしょう。顧客1人当たりの獲得単価・利益金額が概ね計算されれば、どの程度のマーケティング費用をかけるのかが見えてくるかと思います。

(6)経営プラン

 お金を貸す側にとって、事業を継続して行っていくことができるか否かは非常に大きな問題です。倒産してしまっては、貸したお金を回収することができませんからね。

 そこで、サービスの開発計画、人員計画、組織計画、投資計画などを記載し、事業を継続して行っていくことができますよということを書いていきます。

(7)リスクと解決策

 事業をしていく上において想定されるリスクや問題点を列挙していきます。そんなの書かなくても良いのでは?と思われるかも知れませんが、何事にもリスクはあります。リスクを承知でこの事業をしても利益を出せると判断したんですよということを書いていきましょう。有価証券報告書の「対処すべき課題」にたくさん事例がありますので、同業他社の有価証券報告書を参考にすると良いでしょう。

(8)資金計画

 創業時は、お金が入ってくるよりも出ていく方が多いということは普通に発生します。資金がショートしてしまうと事業を継続することができませんので、資金計画について書いていきます。用意できる資金、売上金の回収・仕入代金の支払スパンなどから、借入金額を算定します。そして、その金額があれば今後の事業を回していけますよということを記載します。

2.多くの事業計画書に見られた8つの問題点

 総務省が2008年に作成した「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」をベースに、事業計画書のよくある問題点とその解決策について確認していきましょう。

(1)なぜなぜその分野か、なぜその事業ビジョンを追求しようとするのかが不明瞭

 これは、事業内容がよくわからないというものです。そもそも思いつきで事業を始めようと思った方や、とりあえず儲かりそうだからという理由の方の場合、ほぼ間違いなくここで引っかかるでしょう。

 そういった適当な思いで作った事業計画書は、簡単に見抜かれてしまいます。ですので、まず、事業内容について十分に吟味してから事業計画書を作成するようにしたいですね。

(2)この事業がなぜ成長し、事業としてなぜ大変魅力的なのか

 これは、なぜ儲かると判断したのか?という点です。何となく儲かりそう、誰もやってないから大丈夫だろうと言った理由では弱過ぎます。

 なぜ、自分がやると儲けることができるのかを、明確に書くようにして下さい。

(3)顧客ニーズの把握が甘い

 顧客のニーズが理解できていないと、独りよがりになります。どんなに良い商品やサービスを扱っていたとしても、顧客がいなければ話になりません。魚のいない川で釣りをするようなものです。

 ですので、仮に自身の商品やサービスと顧客ニーズに乖離があるのだとすれば、歩み寄るのは自分の方です。顧客ニーズに合わせた、商品・サービスを提供していきたいですね。

(4)戦略的な検討不足

 商品開発や投資計画、マーケティングと言った戦略的な話ができておらず、とりあえず利益がこの位出ると思いますよと言った感じで、数値計画が書かれた事業計画書が散見されます。

 これはよく考えるとわかるのですが、数値というのは見込みです。そして、利益が出ませんがお金貸して下さいという人はいなくて、多くの人は鉛筆をなめた数値を出してきています。つまり、数値計画というのは基本的には信用できないものなのですね。

 事業計画書は、数値ありきではなく事業プランありきです。戦略的な話も含め、より納得してもらえるような内容を記載していきましょう。

(5)競争優位性の説明が非常に不足

 競合がいる事業の場合、既存の競合相手に対する優位性を説明する必要があります。また、仮に現時点では優位であったとしても、今後も優位を保つことができるかはわかりません。その辺のことについて、しっかりと説明する必要があります。

 例えば、「当社は製品の製造にあたり●●という特許を持っているので大丈夫!」と聞くと、確かに・・・と思うかも知れませんが、その特許がなくてもその製品を作れるのであれば、その特許は意味がないものになってしまいます。

 そういったことが起こる可能性なども加えてあげる必要があるでしょう。

(6)根拠の極めて薄弱な売上・利益計画

 コストについては、かなり高い精度で見積もることができると思います。ですが、売上の場合はお客様ありきですので、そう簡単ではありません。売上が適当であれば、利益も適当なものになってしまいます。そうならないためにも、顧客ニーズを細かく分析していきましょう。顧客ニーズを把握していなければ、売上計画など立てようがありません。

(7)表現が稚拙

 言葉が短すぎて何を言いたいのか伝わってこないものや、言いたいことが多すぎて整理できていないもの、そもそも事業計画の前提条件が抜けているため、理解し辛いものなどが例示されています。

 融資を受ける際に提出する事業計画書は、「人に読んでもらうもの」です。自分の自己満足のために書いている訳ではありません。第三者がどうすれば理解してくれるのかを考えながら、書いていくようにしましょう。

(8)社長自身、事業計画の内容を必ずしも信じていない

 これは最悪と言っても良いかも知れません。自身で立てた事業計画について、絶対実行するというコミットメントがないのであれば、それは事業計画ではなく机上の空論です。

 ただお金を借りたいから書きましたという思いが滲み出てしまっている事業計画書には、誰もお金を貸してくれません。

3.融資を受けるために必要なこと

 融資を受けるために事業計画書を書く訳ですが、融資を受けることを最終目標にしてはいけません。事業計画書は、融資を受けた結果、こうなります、ああなりますと言った未来を説明するものです。

 これを忘れて、ただお金を借りたいがために作ってしまうと、先ほどご紹介したような問題だらけの事業計画書になってしまいます。

 また、事業計画書は独りよがりのものではなく、「人に読んでもらうもの」です。何度も読み返すことはもちろん、家族や友人など第三者に読んでもらって、理解してもらえるかどうかのテストもしていくようにしましょう。

4.さいごに

 総務省のレポートによりますと、徹底した議論を重ね3~4週間程度で予備的な仮説を構築し、その上で、インタビュー・データ収集などを通じて仮説を何度も何度も検証し、仮設構築→検証→仮説修正→検証を繰り返して4~12ヶ月間で事業計画書を作成して下さいと書いてあります。

 創業時の事業計画書と、融資を受けるための事業計画書では多少の違いはありますが、基本的にこの考え方に私も賛成です。

 飲食店の7割は3年以内、9割は10年以内に倒産すると言われています。事業を起こすことは誰にでもできますが、事業を継続することは難しいのです。

 10年以上事業を続けている1割に入るためにも、念入りな事業計画を作りたいものですね。

 

(参考)金融機関が提供している事業計画書のフォーマット

実際に事業計画書を書こうということになると雛形があると書きやすいです。

下記のリンクの先に色々とフォーマットがありますので、有効活用してください。

日本政策金融公庫

大東銀行

栃木銀行

西京銀行

多摩信用金庫

京都中央信用金庫

豊田信用金庫


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